1. はじめに
当家はいまから15年前に母屋の半解体修理を実施しましたが、その後 蔵および敷地が指定になりました。
最初は茅屋根の修繕を計画していましたが蔵の内部及び屋根の傷みがひどくまた敷地内にある木小屋外周りの漬物小屋(母屋の勝手口)の傷みもひどいため(昨年一部の屋根が落ち修復工事実施)将来を考え併せてこれらの修復工事を行うことを決断いたしました。
この度の修復工事の進行状況を毎月ご報告するとともにこの工事に関する留意点などを簡単にご報告したいと思います。
この工事に先立ち昨年11月より文健協により設計を開始し 当家は三次市教育委員会と修理委員会を開催し準備を進めてきました。
本年に入り6月10日入札最終決定を行い工事は広島県のゼネコンである砂原組に決定しこの7月から工事を開始しています。(砂原組は前回の母屋の工事業者でもあり私たちにとっては安心してお任せできる業者です)
2. 7月の工事
2-1 木小屋の整理 – 木小屋のものの撤去(今回の工事費には含まれない 自己負担)
本来この小屋には茅が保管されていた。
戦前そのあと数年はこの地域に20件以上の茅屋根の家があり各家が茅を保管し互いに工事
の時に茅を提供していた。(その名残で2階に茅が残っている可能性大)
建築古材 炭の保管箱 燃料のマキの保管箱 一部木製の道具(梯子 桶 水車の水かきの
板ほか)が保管されており、7月は1階のみ整理することにした。(処理に危険が伴うため
)
◆ この木小屋は‘重文民家の集い’の学術会員の 中尾七重先生が炭素同位体年代測定(C-14)で母屋建設後20年経たないうちにこの木小屋が建てられたこと証明されており日本でも相当古い木小屋である。
重文指定されていないが今回の工事方法も準文化財として解体修理する方向である。
この木小屋は江戸時代に補修した跡があるがこのみすぼらしい小屋が残っているのは貴重で修復後の活用法は検討中である。
まだ2階にある木材 古い茅(70ー80年前のものと推定される)は安全確保のため、仮囲い設備をした後の撤去となる。
2-2 共通仮設 運搬通路建設
写真左側の入口(住居の通用門)を解体して機材 資材搬入口を確保
2―3 共通仮設として仮設ハウスの建設
8月の主な工事予定
工事の邪魔になる高木伐採 剪定 -木小屋 土蔵周り
搬入路の整備 小屋組みの解体 造作解体
今月の留意点
今回困ったことは木小屋の荷物と蔵の保管物の処置が工事経費に入っていなく(経費に入れることが出来ない)重いものもあるし選別するにも時間がかかる。今後の検討課題と思います。
前回の母屋の工事の時は1年かかかって物の選別処分を行いましたが多大なエネルギーが必要でした。(延べ50日以上処置にかかった記憶がある。)